企業会計審議会 内部統制部会 内部統制基準・実施基準の改訂について
企業会計審議会 内部統制部会において、これまでの議論を踏まえ、内部統制基準・実施基準の見直し案を提示しています。
https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/siryou/naibu/20221208.html
監査人の内部統制監査については、ダイレクト・レポーティングの導入は行わず、中長期的課題として前文に記載するにとどめています。また、評価範囲の検討における数値基準も注記として残っています。
全体として、当初予想されていたものよりは大きな変更点は少ない印象です。
主な改定点とその考え方は次のとおり
- 内部統制の基本的枠組み
- 報告の信頼性
- サステナビリティ等の非財務情報に係る開示の進展やCOSO報告書の改訂を踏まえ、内部統制の目的の一つである「財務報告の信頼性」を「報告の信頼性」とすることとした。「報告の信頼性」には「財務報告の信頼性」が含まれる。
- 一方で、金融商品取引法上の内部統制報告制度は、あくまで「財務報告の信頼性」の確保が目的であることを強調している。
- その他、経営者による内部統制の無効化についての例示や内部統制とガバナンス及び全組織手的なリスク管理についての例示等の記載を充実させている。
- 報告の信頼性
- 財務報告に係る内部統制の評価及び報告
- 経営者による内部統制の評価範囲の決定
- 評価範囲の決定に係る数値基準等の例示は本文から注記に変更。また、将来的には「基準及び実施基準における段階的な削除を含む取扱い」も検討
- 評価範囲に含まれない期間の長さを適切に考慮するとともに、開示すべき重要な不備が識別された場合には、当該開示すべき重要な不備が識別された時点を含む会計期間の評価範囲に含めることが適切であることを明確化
- 評価範囲に関する監査人との協議について、評価範囲の決定は経営者が行うものであるが、監査人による指導的機能の発揮の一環として、当該協議を、内部統制の評価の計画段階及び状況の変化等があった場合において、必要に応じ、実施することが適切であることを明確化
- ITを利用した内部統制の評価
- 内部統制報告書において、記載すべき事項を明示
- 経営者による内部統制の評価の範囲について、重要な事業拠点の選定において利用した指標の一定割合等の決定の判断事由等について記載することが適切であるとした。
- 前年度に開示すべき重要な不備を報告した場合における当該開示すべき重要な不備に対する是正状況を付記事項に記載すべき項目として追加。
- 財務報告に係る内部統制の監査
- 財務諸表監査の実施過程において入手している監査証拠の活用や経営者との適切な協議を行うことが重要である旨の記載
- 経営者による内部統制の評価範囲の妥当性を検討
- 評価範囲に関する経営者との協議の必要性と独立監査人としての独立性の確保
- 経営者による内部統制評価の範囲外から内部統制の不備を識別した場合の対応
- 財務諸表監査の実施過程において入手している監査証拠の活用や経営者との適切な協議を行うことが重要である旨の記載
- 経営者による内部統制の評価範囲の決定
- 内部統制報告書の訂正時の対応
- 事後的に内部統制の有効性の評価が訂正される際には、訂正の理由が十分開示されることが重要であり、訂正内部統制報告書において、具体的な訂正の経緯や理由の開示を求めるために、関係法令について所要の整備を行うことが適当
- 適用時期等
- 令和6年4月1日以後開始する事業年度における財務報告に係る内部統制の評価及び監査から適用
- 関係法令等や内部統制監査の実務の指針についての整備が必要。
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