公認会計士協会 「監査基準報告書600「グループ監査における特別な考慮事項」の改正について」(公開草案) の公表について
監査基準報告書600「グループ監査」について、大幅に改正された指針に関する公開草案が示されております。
https://jicpa.or.jp/specialized_field/20221018gac.html
1.改正の経緯
IAASBボード会議において2021年12月まで議論が行われ、その後、PIOBの承認を経て、ISA600(改訂)として確定版が2022年4月7日に公表されたことによるもので、ISA600(改訂) の公表に伴い、監査基準委員会報告書600「グループ監査」の見直しを開始したもの。
2.変更点(特に大きな変更と思われるものを抜粋)
- 名称の変更(「グループ監査」から「グループグループ監査における特別な考慮事項」
- 品質管理への積極的な取組み(リスクに基づくアプローチ)
- 重要な構成単位の概念の廃止(第13項(2))
- 監査の作業を実施する構成単位(※)の決定の柔軟性の確保とともに、適用指針において、決定に影響する要素の例示として、事業単位における資産、負債及び取引の規模並びに内容が含まれている(複数法人やシェアード・サービス・センターを一つの構成単位とすることも可能)(A51項)
- ※構成単位-グループ監査における監査手続の計画及び実施を目的として、グループ監査人により決定される企業、事業単位、機能若しくは事業活動、又はそれらの組合せをいう。(法人単位とならないケースも有)
- 構成単位における作業の範囲を適用指針に規定(A131項)
- グループ監査品質の管理と達成の明確化(第6項及びA11項)
- 情報又は人へのアクセス制限への取り扱いの明確化(第20項及び第21項)とアクセス制限の原因と解決策の例示(A38項からA44項)
- 重要性(第35項)
- 適用範囲
- 適用対象となる「グループ財務諸表」の定義を具体化し、個別財務諸表監査であっても複数の事業単位が存在する場合、グループ監査の対象になり得ることを明確化(第14項(11))
- 複数の企業又は事業単位の財務情報を含み、連結財務諸表の作成のみならず、例えば支店や部門などの財務情報を集約する場合も含まれる。
- シェアード・サービス・センターや持分法適用会社についても本基準の適用対象となり得る(第3項及び第4項)。
- 適用対象となる「グループ財務諸表」の定義を具体化し、個別財務諸表監査であっても複数の事業単位が存在する場合、グループ監査の対象になり得ることを明確化(第14項(11))
- 適用時期
- 改正監基報600は改正品基報等(品質管理基準報告書第1号並びに第2号及び監査基準報告書220(2022年6月16日公表))の内容を前提としているため、改正監基報600を早期適用する場合、改正品基報等についても同時に適用することが必要(第12項)
- 大規模監査法人
- 2024/4/1以後開始する事業年度又は会計期間に係る監査から
- 改正品基報はそれ以前から適用の必要あり
- 大規模以外
- 2024/7/1以後開始する事業年度又は会計期間に係る監査から
- 改正品基報は同時適用
- 大規模監査法人
- 2023年12月15日以後開始する事業年度のグループ財務諸表の監査から適用(早期適用も可)
- 改正監基報600は改正品基報等(品質管理基準報告書第1号並びに第2号及び監査基準報告書220(2022年6月16日公表))の内容を前提としているため、改正監基報600を早期適用する場合、改正品基報等についても同時に適用することが必要(第12項)
重要な構成単位の概念が廃止され、監査の作業を実施する構成単位の選定やその手続きの策定にはかなりの労力が要されることが想定されます。上記以外にも多くの変更がございますので、ご確認ください。
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